| 待ちに待った左官の仕事は、オーヴェルニュが厳しい寒さに包まれる2月に始まりました。この家にはトイレ、シャワーがないため浄化槽(fossé septique)がついていなかったので、裏庭の、住まいに隣接したトラクターや干草を入れる納屋から2m程離れたところに設置することにしました。小さなショベルカーで地面から60cmほどの深さの穴を掘って取り付けた浄化槽は、家庭サイズの3000Lです。設置にあたり、隣人の苦情(においなどの問題)があるかどうか気になりましたが、幸い、隣近所も私たちと同じくバカンス用の家なので留守にしていることがほとんど。「うちの庭から離れたところに設置してくれ」などと文句をいわれることはなく、ほっとしました。
いよいよ内装工事の始まりです。1階の一番奥にあるキッチンは家畜の餌を作る大きな鍋とポンプが置かれ、リビングとは壁で仕切られています。明るいオープンキッチン兼リビングにするために、その壁を最初に取り壊してもらうことにしました。左官工の仕事が入ってから、私たちの代わりに友人エルヴェが工事の様子を見に行き、ときどき知らせてくれましたが、「キッチンの奥の壁の表面を壊したら、石造りのきれいな壁(mur de pierre)が出てきたから、これはそのまま活かした方がいいと思う」と、わざわざ電話をしてきてくれたのです。新たに壁をセメントで平らにしてもらうつもりが、逆に古いセメントを壊して、元からある石の壁を活かすように変更しました。左官工のファージェットさんにとっては手間のかかる仕事となりましたが、キッチンの壁をペンキで塗る手間が省けたうえ、素朴な石の壁が家に新たな魅力を加えてくれることになり、私たちは大喜び。階段の右横にある部屋はガラクタ置き場となっていましたが、そこの壁も古く傷んでいたので、全部取り壊しました。すると、広いスペースができたので、レンガを積み重ねて新たに壁を築き、その一隅にトイレを作り、さらに洗濯機、湯沸かし器を置き、日用品などを整理するスペースとして利用することにしました。床の50年代のタイルはレトロな模様が素敵でしたが、汚れがひどく、「どんな頑固な汚れもおちる!」というのが歌い文句の洗剤でも全く落ちません。近所のマダムが「村で一番最初に床にタイルを貼った家だったから、珍しくて見に来たわ」と、話してくれましたが、結局、全部取り壊すことに。2階の貯蔵庫だった部屋はお風呂場にするため、壁にセメントを塗り、きれいに平らにしてもらいました。それ以外は寝室も屋根裏部屋も床の張り替えの必要もなく、他にいじる部分はありません。このように2階はすぐに仕上がったのですが、1階の内装工事はなかなか大掛かりで、予想以上に時間がかかりそうです。それにファージェットさんは他の村の工事や急な作業など、我が家以外の工事も同時に進めているのです。
4月の復活祭休暇にオーヴェルニュに来ると、階段が全部取り壊され、タイルもはがされ、サロン以外は壁の仕切りがなくなっていました。1階がオープンになり、広くなっていましたが、ボロボロに壊れたままのコンクリートの塊で床は足の踏み場もなく、埃だらけで家の中はぐちゃぐちゃ。主人がまた催促がてら?ファージェットさんの所へ行きましたが「相変わらず、他にもたくさん仕事を抱えているから、我が家の工事だけ先に進めるというのは無理そうだね」と。やはり辛抱強く待つしかなさそうです。
その間、ジャングルと化している裏庭の手入れを始めることにしましたが、あまりにも雑草が多く、どこから始めていいのやら。向いに住む農家のジョージさんとジャニーヌさんご夫妻の羊に雑草を食べてもらおうかと考えましたが、「羊は植えた植物でも何でも根こそぎ食べてしまいますよ。それより時間のあるときにトラクターで耕してあげますよ」と、嬉しい申し出をしてくれたのです。このジョージさんご夫婦も左官工と同様、よそ者である私たちを快く受け入れてくれたオープンな人たちで、大工道具を貸してくれたり、親切です。時期を待ってフランボワーズ、ミュールなど特に水遣りを気にしなくても育つ木々を植えることにしました。それにしても左官の仕事ぶりはのんびり。主人もせかすわけにはいかず、「オーヴェルニュ時間で動いているのかもね、きっと」と、辛抱強く待つことにしました。せめて床のタイル貼りが終わっていれば、子ども達を家の中で遊ばせることができるのですが・・・。
(写真CAP)
家と納屋、裏庭
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