まずポーに来たら必ず立ち寄りたいのがここ。雄大に広がるピレネー山脈を見下ろす力強いお城、それがポー城です。このお城が最初に建てられたのは12世紀。その当時はベアルヌの子爵が時折使用するのみで、現在のようなお城の形とは異なり四角形の簡素な造りでした。そして時が流れる中、この辺りは戦略上の重要なポイントとなり、お城の後継者フワ伯爵家の反映が絶頂期に達した14世紀、フェビュスGastonIII Phoebus の時代に、川に面した本館南部、レンガ作りの天守閣等の増築が行われ、お城は敵の侵略を許さない城塞となっていきます。15世紀にはガストン4世が婚姻によりナヴァール王国を得て、ベアヌルの首都がオルテーズOrthezからポーに移り、ポー城の外装もフランボワイヤン様式の装飾がほどこされて多少華やかになります。しかし大きく変化を遂げたのは16世紀。フランソワ1世の妹と婚姻を結んだアンリダルベールHenri d'Albretは強固な城塞だったこのお城を、ルネッサンス様式をとりいれた立派な宮殿へと変身させたのです。この時期にフランスに現れ始めた建物の中心部に置かれる正面階段l'escalier d'honneur も造られましたが、これはルーブルに設置されるよりも早かったと言われます。そして1553年、アンリ4世がこのお城でうぶ声を上げます。フランス国の存続を脅かしてきた宗教戦争をナントの勅令を持って静めたのを始め、大きな政治の方向転換、農業改革等の推進、ナヴァール王国をフランス王国に結びつけフランス統一に貢献するなど、大きな業績を上げた偉大な王として名を残しました。アンリ4世がフランスの国王として拠点を移した後のお城はベアルヌの役人の住居となり、天守閣は牢獄として使用されていましたが、革命が勃発。お城の装飾品は略奪され、アンリ4世に関するものも、亀の甲羅できたゆりかごと、フォーク2本しか残らかったほど荒らされます。その後一時は兵舎として利用された荒涼とした時期を経て、1838年から1848年にかけてルイ・フィリップの手によって大規模な修復が行われました。そして最終的には、皇后との滞在地として利用していたナポレオン3世の手により再び豪華さを取り戻したのです。
現在ではヨーロッパ全域でも指折りのフランドルタピスリー及び16,17,18世紀のゴブラン織りのコレクションを保有する国立美術館になっています。ガイドと一緒にまわる約1時間、各部屋に配置されたアンリ4世の像や絵画に囲まれて、歴史の中にトリップしてみてはいかがでしょうか。

ポー城のホームペ−ジ

http://www.musee-chateau-pau.fr/

琥珀色の甘口白ワイン「ジュランソン」

ワインといえばボルドーが有名ですが、ボルドー産の甘口白ワイン「ソーテルヌSauterne」にも負けない素晴らしいワインがベアヌル地方にもあります。それが「ジュランソンJurancon」。ポー城の前を流れるポー川からオロロン川に挟まれた25の市町村にて、この地区独特の大小の両マンセン種( le gros manseng, le petit manseng)とクールビュ種(le courbu)から、気品の漂う香り豊かなA.O.C.の白ワインが作られています。
ジュランソンの甘口ワインは果汁を自然に乾燥させて濃縮した実から作られます。乾燥させずによく熟したものを収穫すれば、爽やかな味わいの辛口ワインになりますが、収穫時期を遅らせることにより、時には雪が降る季節、葡萄は凍結し、水分だけが凍り乾いたようになります。このため氷点下が水分より低い糖分だけが残り、圧搾の際には甘い部分だけがしたたり落ち、あの蜂蜜のような甘さとコクを持つ極上な琥珀色の甘口ワインとなるのです。辛口ワインは白ワイン全体の70%を占めており、その数字からも甘口ワインの収穫量が少ないことがうかがえるでしょう。
このワインはアンリ4世の洗礼に使われたことにより一気にその名を広めました。1553年12月、祖父にあたるナヴァールの王のブルボン公爵の手により、生まれた赤ん坊(のちのアンリ4世)の唇にひとかけらのにんにくがこすりつけられた後、ジュランソンワインのにおいを嗅がせた後、唇に湿らせ洗礼を施こしたのです。
またジュランソンは“クリュ”の概念が最初に生まれた場所ということで、ワインの歴史の中で重要な意味を持つ土地でもあります。14世紀にはいり、ベアヌルの君主とナヴァールの議会が、農地の価値に従い、どこの産地よりも先駆けてフランスで最初の格付けを行いました。これがクリュの概念の始まりです。ジェロンソンワインの真価を守るための、最初の保護制度でもあったのです。
ポーに来た際には一度はこのワインを味わってみて下さい。同じくベアルヌ地方名産のフォアグラと共に頂くジュランソンは格別ですよ。

注:A.O.C. : アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ(appellation d'origine controlee)の略で、原産地統制名称のこと。